年齢に負けないカラダ作り
監修:女子栄養大学栄養生理学研究室
教授 上西一弘
シニア世代に必要とされる栄養素の量は、成人と変わらないのを知っていますか?若い人ほど基礎代謝が高く、その分たくさんの栄養素の摂取が必要であると思われがちですが、高齢者は消化吸収率が低下するため、やはりしっかりと栄養素を摂取しなければならないのです。
つまり、年齢を重ねたら粗食がいいというのは思い込み。シニアでも本当に元気な人というのは、きっとしっかりと食べているはずですよ。
お肉はカロリーが高いイメージを持っている方が多いでしょう。しかし牛赤身肉は脂肪が少なく低カロリーなのに栄養豊富。
一定のエネルギーを摂取するごとにどれだけの栄養素を摂取できるかの指標を「栄養素密度」といいます。牛赤身肉は栄養素密度が高く効率的に栄養を摂ることができるのです。逆にポテトチップスなどはエネルギー量が高いにもかかわらず栄養素量が少ないので栄養素密度が低いといえますね。
高齢者がお肉を敬遠しがちな理由として、お肉を噛んで食べる行為自体に不安を感じているのかもしれないですね。お肉といっても薄切り肉や塊の肉などもありますので、調理法を工夫することによって、お肉を気軽に食べられるようになるのではないでしょうか。
また、普段から柔らかいものばかり選んでいると、咀嚼(そしゃく)機能が衰えてどんどん噛む力が弱くなってしまう可能性もあります。たまには、噛みしめるほど味が感じられるお肉に挑戦し、丈夫な歯と顎を維持したいですね。
加齢とともに筋肉量が減少していくことをサルコペニアといいますが、これは筋肉組織が生成されるよりも分解される割合の方が上回り、生成と分解のバランスが崩れてしまった状態です。高齢者が転倒しやすいのは、とりわけ脚の筋力の衰えがもたらす歩行機能の著しい低下に起因しており、ひいては骨折につながるケースも少なくありません。
さらに高齢者は、サルコペニアによる運動器の障害のために移動能力が低下し、要介護状態あるいはその危険性の高い状態を指すロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)に陥る可能性も高くなります。
牛赤身肉は、体のあらゆる組織を形成する良質たんぱく質、免疫力を高める亜鉛、骨粗鬆症対策によいとも言われるビタミンB12を多く含んでいますので、ロコモの予防策としてオージー・ビーフを食べることは有効な手段といえます。ただし、お肉にはないカルシウムを併せて摂ることも忘れてはいけません。例えば、オージー・ビーフを使ったハンバーグを作るなら、チーズをトッピングするのがいいかもしれませんね。
筋肉を生成するための栄養素をしっかりと摂取しながら日々の運動も心がけ、いつまでも自分の脚で歩ける体づくりをしていきましょう!